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[At the Entrance Room]


突如目の前に現れた、手のひらサイズの小人。
疲れてるのかと思い、僕は目をこすったが、小人は灰皿の中でふんぞり返っていた。

「おい。お前!」

訳がわからず理由を聞くと、どうやら彼は小人の王子らしく、
王様になる前に一度大きい人間たちの世界を見に来るのが王家の伝統らしい。
しばらくいるから世話をするように、だと。

しきたりだか伝統だかなんだか知らないが、なぜ僕の家なんだ?
僕は今まで真っ当な生活を送ってきたはずだ。
営業成績も一番いいし、高級マンションの最上階に住んでいる。
頭が痛くなるような話に、僕は一服しようとタバコを取り出そうとした。

「…こんな時に…。」

箱買いしているにもかかわらず、生憎在庫はゼロ。
僕はもう一度コートを引っつかみ、つい今しがた靴を脱いだ玄関へと向かった。

「おい!どこへ行く!!」
「買い物。」
「外へ行くのか!?連れて行け!!」
「……。」

王族というのはあながち外れていないらしく、この小人は態度がでかい。
僕の名前を聞いてきたくせに、僕の事を呼びもしない。
キラキラとした瞳で、尊大に僕に頼む様子は、
取引先の所の我侭坊ちゃんに似ていて、少しおかしい。
小人も人間…小人に言わせれば巨人、もそう変わらないらしい。
ポケットに彼を突っ込み、騒ぐなよと小人に念を押した後、僕は靴を履いた。
…まだ少し、ぬくもりが残っていた。

「おい!何を買うのだ?」
「タバコ。」
「お前、タバコを買えるほど金を持っているのか。巨人は見かけによらないな。」
「…タバコなんて今は買えないやつのほうが珍しいぞ。買わないやつは多いけどな。」
「父上の話では、タバコを買えるのは王家や貴族のものだけだったぞ。」
「……………いつの時代だいつの。」

タバコが高級品になっていたのは、ずいぶんと昔だ。

「私たちは巨人に比べて寿命が長いのだ。」
「なるほどな。」
「すごいな!!」

何が凄いのか…。ドアを開けて数歩進んだだけなのにと僕は首をかしげた。
小人が見ている先を目で追って、ようやく何のことだか判った。

「……夜景か。」

高層ビルの最上階のため、景観がとてもいい。
来客は、まず僕の部屋に入ると景観の会話をして話を弾ませる。
この小人の王子様も例に漏れずって訳だ。
エレベーターを待ちながら、僕はそのまま続いた小人の言葉に、耳を疑った。




……なんだって?

開いたエレベーターのドアを、僕はそのまま見送ってしまった。

At the Entrance Room -玄関にて-















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